亜鉛は多くの酵素の必須成分となり、核酸やタンパク質の合成に欠かせません。(亜鉛を含む酵素は、200種類を超えています。インスリンもその一つです。)
そのため代謝の激しい組織ほど亜鉛不足の影響が出やすいと考えられます。特に精液中に高濃度に含まれ、性機能に密接な関係がうかがわれます。
卵胞刺激ホルモンや黄体ホルモンも亜鉛によって強く活動することが知られています。
動物実験での代表的な亜鉛欠乏症は、性機能の発育不全で、雌雄共に性器の発育が悪く、繁殖力が低下すると報告されています。
また味覚や臭覚を正常に保つ働きがあります。
最近若い女性に見られる味覚異常は、亜鉛不足が原因と言われています。過度のダイエットで必要な亜鉛が摂取されていないためと考えられます。
亜鉛は免疫機能にも関係しています。
胸腺は免疫機能の一つを担っているT細胞を整備する器官です。

(健康豆知識「免疫とガン」をご参照ください)

出生時には心臓より大きいのですが、思春期を過ぎるころから小さくなり始め、60才では小さくなってしまいます。 この胸腺の萎縮には、軽い亜鉛欠乏症が示唆され、1日30mgの亜鉛を6ヶ月摂った場合、免疫機能がある程度回復したとの報告もあります。
亜鉛はカキを始めとして穀類、ナッツに多いのですが、これらには亜鉛の吸収を妨げる物質も含まれています。 また加工食品の中には亜鉛の吸収を妨げる成分(ポリリン酸、カルボキシメチルセルロース)が含まれるものがあります。 アルコール分解酵素も亜鉛を必要としますから、飲みすぎは亜鉛不足を来たす危険性も考えられます。 これらのことはよく留意しておかれるのが良いでしょう。
穀類、肉、魚をバランスよく食べるのが亜鉛不足にならない食生活の基本と言えます。

亜鉛を多く含んだ食品

カキ(生)、スルメ、うなぎ(かば焼き)、和牛、牛(肝臓)、豚、成鶏(ささみ)、そば粉、玄米、アーモンド、ごま(乾)、干ししいたけ、緑茶